VDOTとはなにか、サブ4に向けたVDOTによる練習方法

ランニング理論
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VDOTとは「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」で定義されているジャック・ダニエルズコーチが提唱する言葉です。

いわゆるVO2max(最大酸素摂取量)の正式名称である「V-dot-O2max」を略してVDOTと呼んでいます。なので、基本的にはVO2maxとほぼ同義であると理解してよいでしょう。VO2maxの解説はこちら。

最大酸素摂取量(VO2max)とは
マラソンはただ練習しているだけではタイムが縮まっていきません。 自分の体を科学的に捉えてトレーニングを積み重ねることで走力が上がっていきます。自分の体を知るための数字の一つでマラソンなど持久力に大きく関係する最大酸素摂取量(VO2ma...
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VDOTで自分自身を知る

自分のVDOTを知れば、トレーニングが推測や気分ではなく科学的に実施することが可能になります。結果、より効果的に目標と目的に向かって筋肉や心肺能力を鍛えることができるのです。

まずは最近の自分のレース結果から、自分のVDOT値を算出します。書籍に対比表が掲載されていますので、そこから自分のVDOTを探すのが早いでしょう。

書籍からサブ4に近いフルマラソン完走タイムのVDOTを引用します。詳細は書籍「ランニング・フォーミュラ」を参考にしてください。

VDOT 5,000m 10,000m ハーフ フル
35 27:00 56:03 2:04:13 4:16:03
36 26:22 54:44 2:01:19 4:10:19
37 25:46 53:29 1:58:34 4:04:50
38 25:12 52:17 1:55:55 3:59:35
39 24:39 51:09 1:53:24 3:54:34

サブ4を狙うのであれば、VDOT38あれば十分であることが分かります。

最終的には練習によってVDOTを向上させて38になることを目指しますが、できればVDOT35あたりにいると、半年以内でのサブ4達成が視野に入ってきます。

まだレースに出たことがない人は、トラックやフラットで信号がないコースで5,000m走をやって、おおよその目安をつけるとよいでしょう。

5つのトレーニングペースの考え方

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VDOTは自分を知るための数値であるとともに、そこから普段の練習でどのペースでどの程度の距離を走ればよいのか、その目安となる運動強度の設定に使います。

ランニング・フォーミュラでは5種類のトレーニングペースが定義されていて、自分のVDOTに合わせてランニングペースを設定します。VDOTが高い人はペースが速くなり、低い人はペースが遅くなるという相対的な考え方です。

イージーランニング

Eペースとも呼ばれる。

ウォーミングアップ、クーリングダウン、ロング走を行うペース。

より強度の高いトレーニングに向けた基礎づくりを行い、心筋の強化、筋肉の血液供給増加への対応、酸素利用能力の向上が期待できる。

Eペースでのロング走は、週間走行距離または週間走行時間の25〜30%、1回につき2時間半を限度とする。

通常、5974%VO2max(6579%HRmax)の範囲内の運動強度となる。

マラソンペースランニング

Mペースランニングとも呼ばれる。

イージーランニングより強度が高く、VDOTから算出されるフルマラソン完走タイムでのペースとなる。フルマラソンで完走するペースのイメージ作り、身体的に慣れるのが目的。

持続時間は90〜150分、走行距離は25km程度を目安にする。

練習で難しい場合はハーフマラソンのレースなどを活用する。

エリートランナーでは84%VO2max(89%HRmax)でフルマラソンを走れるが、5時間程度の人の場合は75%VO2max(80%HRmax)まででしか走れないため、運動強度で設定すると振れ幅がある。

閾値ランニング

Tペースランニングと呼ぶ。Tは「Threshhold」の略である。

持久力を向上させる効果が高いトレーニングである。

トレーニング名称にもなっている閾値とは、「血中乳酸閾値(LT値)」のことであり、この速度を超えると血中乳酸濃度が上がり、それ以上運動ができなくなる運動強度である。

メインとなるテンポ走トレーニングは20〜60分程度まででよく、それ以上の負荷は怪我の原因となる可能性がある。

8388%VO2max(8892%HRmax)が目安となる。

インターバルペース

Iペースランニングと呼ぶ。

VO2maxを向上させることを目的とし、高強度の短時間の運動を何度か繰り返すことで、心肺能力を向上させる効果がある。

通常、3〜5分のランニングと数分のジョグを1セットとして、5本から7本実施することが多い。

95100%VO2max(98100%HRmax)が目安である。

レペティションペース

Rペースランニングと呼ぶ。

スピードとランニングエコノミーの強化を目的とする。

インターバル走はランの間をジョグで繋ぐが、レペティションはランの間を完全に休憩して心拍数を安静時まで戻す。その後、再び短い距離を走る。このセットを数本繰り返す。

100%VO2max(100%HRmax)で走る。

VDOTから自分の練習ペースを出す

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自分の直近のレース結果からVDOTを算出できたら、Eペース、Mペースなどの普段の練習で設定するペースを表から選びます。

なお、Rペースはレペティション自体の練習がサブ4レベルでは不要なため省略しています。

VDOT Eペース Mペース Tペース Iペース
35 7:01 6:04 5:40
36 6:52 5:56 5:33 5:07
37 6:43 5:48 5:25 5:00
38 6:35 5:41 5:19 4:54
39 6:27 5:33 5:12 4:48

ランニング・フォーミュラの中で触れられている大切なことは、単にVDOTの数値を知ることではなく、己に合ったランニングペースを把握することです。VDOTはその手助けとなる目安です。

自分の実績から各ペースを計算するサイト

ランニング・フォーミュラ公式サイトでは、現在の自分のレース結果タイムを投入すると、EペースやTペースなどを計算してくれます。

Jack Daniels' VDOT Running Calculator | Run SMART Project
The Official Jack Daniels' VDOT Running Calculator. Calculate pace based on time and distance as well as the effect of altitude, temperature and wind.

こちらを使えば雑誌の表を眺めなくても、自分ですぐに最新のペース情報を知ることができるのでオススメです。

サブ4を走れるVDOTとペース

サブ4に必要なVDOT(走力)は38です。

この場合、Eペースの6:35でロング走を行い、Mペースの5:41で身体を本番ペースに慣らせ、Tペースの5:19でテンポ走をしてMペースを楽に走れるようになる、という感じあることが分かります。

しかし、単純にサブ4を目標にしているからといって、このVDOT38用のペースで練習をしてもオーバーペースで過剰運動になって怪我する可能性があります。

あくまで最初は自分の身体にあったVDOTのペースで練習メニューを組むことが大切です。

練習メニューの作り方

低負荷のEペースであれば長い時間走れますが、高負荷のIペースでは短時間しか走ることができません。

ランニング界には月間走行距離神話がありますが、大切なことは走った総距離ではなく負荷と時間です。

まずは現在のVDOTから算出されたEペースで走ることをベースとして、時々MペースやLペースで走ります。

少なくとも4週間程度走ってみて、十分楽に走れると感じられたら、VDOTを1ポイント上げて新しいペース設定で走ります。

基本的にはこの繰り返しとなります。

マラソンに向けては、ほとんどがEペースの練習で良いようです。レースに向けた時期にもよりますが、まずはEペースで身体を作り、徐々にMペースとテンポ走を取り入れて行く感じです。

まとめ

VDOTは自らの状態を知り、そこから練習ペースを作り出すことができるツールです。

しかも、これは一部のトップアスリートのみでなく、マラソンを始めたばかりの人やサブで4狙いの市民ランナーにまで適用できる、相対的な考え方なのです。

VDOTに基づいた練習メニュー作成によって、オーバーペースやオーバーワークにならず、怪我の少ない効果的な練習が期待できるのです。

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