LT値とは何か。マラソンでLT値を向上させる閾値走トレーニング

ランニング理論
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フルマラソンやウルトラマラソンのエンデュランススポーツにおいては疲労との付き合い方が大切です。

疲労に関する科学的なパラメータとしてLT値(乳酸性閾値)があります。

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そもそも乳酸とは

乳酸(Lactate)は激しい運動を行うと筋肉の細胞内で糖が分解されて蓄積する物質です。糖を分解してエネルギーを生成すると、同時に乳酸も生成されます。

以前は乳酸が蓄積すると疲労すると言われていましたが、いまの見解では、乳酸は原因ではなく、疲労の結果として蓄積するものと考えられています。

乳酸がある状態、イコール、糖を使ってエネルギーを利用し、疲労が蓄積された状態にあるといえるのです。

LT値(乳酸性閾値とは)

LT(Lactate Threshold)値とは日本語では「乳酸性作業閾値」と呼ばれ、血中の乳酸が急激に増え始める境目の基準値のことです。

乳酸は糖をエネルギーに変換するときに同時に生成されるものです。

エネルギーは糖または脂肪から生成されますが、運動強度が高い(高METsや高心拍の運動)ほど糖を分解し、運動強度が低いと脂肪を使ってエネルギーを生成します。

つまり、運動強度が高いほど糖を使い乳酸をたくさん生成するのです。

この乳酸の生成は運動強度に比例するのではなく、ある運動強度から急激に蓄積するようになります。この境界線(閾値)をLT値(乳酸性作業閾値)といいます。

LT値を下回る強度で運動しているときは、疲労の目安となる乳酸の体内処理が追いついていますが、LT値を上回る強度で運動を続けると乳酸濃度が急上昇し、一定値を超えると運動を続けることが難しくなります。

上のグラフでは、横軸にスピード、縦軸に乳酸値を示しています。

横軸が右に行くほどスピードが上がっていくのですが、17.5km/まではほぼ乳酸値は横ばいです。しかし、そこからは加速度的に乳酸値が上昇していきます。

この場合、LT値は17.5km/hと考えることができます。

LT値とマラソンなどエンデュランススポーツとの関係

LT値を超えた状態で運動を続けると、乳酸が飛躍的速度で蓄積していきます。

乳酸が蓄積すること自体が問題なのではなく、糖消費が激しい状態が続き、疲労が蓄積された状態のため、長時間運動を続けることが困難になります。

逆説的ですが、乳酸があまり貯まらない状態であれば疲労度は軽い状態であり、エンデュランススポーツに必要な長時間動き続けることができるといえます。

LT値を超えると乳酸値が上昇するのだから、LT値直前の運動強度(スピード)で走り続けることが、もっとも乳酸値が貯まらず速いペースで移動できることになります。

エンデュランススポーツにおいては、LT値直前のペースで走り続けることが最適といえるのです。

LT値には個人差がありトレーニングで上昇する

上のグラフの例ではLT値は17.5km/hとなっていますが、これは絶対的なものではなく人によって違い、トレーニングによってLT値を上げることができます。

たとえば、いまはLT値が17.5km/hだとして、トレーニング19.0km/hに上昇できます。

この結果、それまでよりも速いペースで走っても糖消費が少なく乳酸も蓄積しない状態を維持できるようになります。

ランナーにとってLT値を上昇させることは、より速く走り、サブ4などの目標を簡単に達成できるようになるのです。

LT値はどうやって把握するのか

では自分のLT値はどうやって把握すれば良いのでしょうか。

専門施設で計測する

VO2maxやLT値は専門のランニング施設に行くと計測できます。

トレッドミル上を各種器具を装着して走ることで、ある程度正確な数値を把握できます。

ただし、計測は予約制で有料であることが多いです。

ランニングウォッチで計測する

心拍計を内蔵したGPSウォッチを利用してLT値を計測できます。

GPSウォッチの定番Garminの場合、

で計測可能です。ただし、腕時計の光学心拍計のみでは計測できず、胸に装着する胸ベルト型心拍センサーが必要です。

VO2maxや目標ペースから割り出す

VO2maxとLT値とは相関関係があります。

VO2maxが上がればLT値が上がる。LT値が上がればVO2maxが上がります。

ジャック・ダニエル氏のランニングフォーミュラ誌では、5km、10km、ハーフマラソン、フルマラソンなどのタイム別にVO2maxやLT走ペースが示されていますので、自分の実績からLT値を推測することができます。

たとえば、

  • サブ4;VO2maxは38、LT値ペースは5:19/km
  • サブ3.5;VO2maxは45、LT値ペースは4:38/km
  • サブ3;VO2maxは54、LT値ペースは4:00/km

となっています。自分が目指す、あるいは自分の現状に合わせてLTペースを決めることができます。VO2maxとLT値との詳細な関係はランニングフォーミュラ本誌を参照してください。

LT値を向上させるための練習法

LT値を向上させるための練習方法は、LT値近くのペースで20〜60分走ることです。これを閾値走と呼ぶことがあります。

実際のマラソンターゲットペースより速いので、長時間ではなく60分以内程度で十分です。これを繰り返すことでLT値の上昇が見込めます。

サブ4を狙う場合は5:19/kmペースで60分走ることを目標としましょう。最初は10分くらいから始めて、少しずつ長い時間走れるようになるといいでしょう。そして、ある程度楽に走れるようになるとLT値も上昇しているでしょうから、今度は60分をもう少し速いペースで走るようにします。

まとめ

LT値やLT走ペースを毎日正確に把握することは難しいですが、最近ではVO2maxは心拍センサー内蔵GPSウォッチなどで手軽に計測可能なので、そこからある程度推測できます。

そこから自分のLT走ペースを導き出してLT値を伸ばしていくというのがセオリーです。

目標フルマラソンのタイムを達成するためのペースは、LT走ペースよりも遅く設定されています。つまり、フルマラソンではいかに乳酸を貯めないLT値より低いペースで安定して走れるかがポイントとなります。

LT値を上げるためにLTペース走(閾値走)に取り組んでみましょう。

 

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